| あらすじ |
昔、天正二年(1574)、岩崎の殿様に能恵姫という可愛い姫が生まれた。しかし生まれて百日すぎると朝晩泣きやまなくなった。ある夏の日、乳母が鳴いている姫をあやしていると、姫が松の木の根元に落ちている丸くて白い石を見て泣くのを止め、笑い出した。殿様にこのことを話すと、白藤明神の御利益だ、その石をたまご石と名付けよう、と言われ、たまご石は能恵姫の守り石となった。能恵姫が三歳の時、白い蛇が現れるようになった。乳母が冗談で姫の大便の始末をしてくれるなら姫を嫁にやる、と言うとそれから毎日蛇が、姫の大便の始末をするようになった。能恵姫が16歳になり、川連城の若殿道基に嫁入りすることになったとき、道中皆瀬川を舟で渡っていると、さがり淵に来たら急に天気が悪くなり、嵐になった。そうこうしているうちに姫のすがたは見えなくなってしまった。冬に智学法印がさがり淵の側を通りかかった時、山刀を皮に落としてしまったので拾いに淵に潜ると、淵の岩穴に能恵姫が立っていた。智学法印が帰ろう、と促すと姫は龍神に見初められこの世のものではなくなり帰れない、龍神の妻として生きるので、形見に道基に渡してくれ、とくしとこうがいを法印に渡した。その話を聞いた岩崎の殿様は悲しがり、道基は竜泉寺という寺を建て形見の品を収めた。 |