秋田県立博物館中期ビジョン
「現代社会・地域、今を生きる人々につなげる」
秋田県立博物館は、令和7年に開館50周年を迎えました。昭和50年(1975年)に「郷土の自然と人文に関する認識を深め、県民の学術および文化の発展に寄与するため」(秋田県立博物館条例)開館され、都度増築やリニューアルを行ってきました。これまで、8部門を擁する総合博物館として、県内の各種博物館の中心的施設として、県民の生涯学習に資する社会教育施設として、その歴史を重ねてきました。建設以来半世紀を超え、ハード・ソフト両面での対応を迫られる時期を迎えています。
この間、秋田県では少子化・高齢化・人口減少が進み、地域で支え保存し継承してきた有形無形の文化財の伝承が難しくなってきている現状があります。これらの保存継承は急務であり、秋田県立博物館に求められている使命は、秋田県が抱えている課題と表裏一体のものといえます。
同時にデジタル技術の発展にともない、資料の新たな保存・利活用ができるようになり、海外への情報発信が速やかにできるようになりました。
こうした現状を踏まえ、秋田県立博物館は、これまで培われてきた博物館としての様々な力量を新たな半世紀へ引き継ぎ、秋田県立博物館の姿を追求しさらに発展させ、秋田の文化を次代に伝える一助となるために、令和7年から5年間の中期ビジョンを策定し取り組みます。
秋田を代表する文化や自然を次世代につなげるために、資料の収集・保存に努め、調査・研究を進めることでその価値を高めます。
- 収蔵資料の整理及び収蔵環境の維持と改善に努め、環境に負荷の少ないミュージアムIPM(Integrated Pest Management=総合的有害生物管理)に取り組みます。
- 資料のデジタル化を推進し、県内外の諸機関との連携を図りつつ、利活用に努めます。
- 組織的、計画的な調査・研究に取り組み、学芸職員の専門性の向上を図ります。
総合博物館として、魅力ある展示・公開を行います。
- 県内外の貴重な資料を、県民に広く紹介する特別展を開催します。
- 日頃の調査・研究の成果を県民に還元する、学びの深い企画展を開催します。
- 企画コーナー展、展示替えコーナー展などを活用し、調査研究の公開の充実に努めます。
県民の生涯学習に資する社会教育施設を目指し、教育普及活動に取り組みます。
- 博物館教室を充実させるため、各分野の特性を活かし、継続的に取り組みます。
- 体験型展示室の充実を図り、県民の博物館への興味関心を高めます。
- 学校教育との一層の連携を図り、セカンドスクール的利用や出前授業の充実に努めます。
秋田の魅力を広め、県民の知の拠点、文化の発信地となる施設を目指します。
- 秋田の人文、自然に関する様々な分野を横断的に研究し、地域の魅力と価値を発見します。
- アキハクコレクションなどインターネットを用いた資料や解説を充実させ、国内外への発信に努めます。
- ホームページ、SNSを活用し、秋田県の魅力を幅広い世代の皆さんに発信するとともに、海外の方や来館することができない皆さんにも秋田の魅力が伝わるように取組みます。
秋田の博物館の基幹として他の施設と連携するとともに、専門的な人材の育成に努めます。
- 組織的、計画的な調査・研究に取り組み、学芸職員の専門性の向上を図ります。
- 「博物館ネットワーク促進事業」に取り組み、他施設と協力しながら持続可能な活動を進めます。
- あきたMuseumデジタルアーカイブ協議会の基幹施設として、「あきたMuseumDX推進事業」に取り組みます。
- 博物館実務実習を希望する学生を受け入れ、未来の博物館を担う人材の育成に努めます。