| あらすじ |
大沢郷の椒沢(はじかみざわ)に五輪様という堂がある。別当は佐藤弥治左衛門家である。旧藩の頃、由利亀田藩の使者で系右衛門が秋田藩へ急ぎの飛脚(はや)に立つことになった。さて系右衛門は真夜中になり大沢郷月山森の下、大沢川にかけた橋の袂にさしかかると橋の上に、女の姿で髪をけずっている様なものが見えた。武士の面目で一刀のもと斬りつけると、影はすうっと側のしょびこ沼に消えてしまった。大役を果たし、後で見ると、五輪塔が崩れて、刀きずがついて血の色が出ていた。この話を伝え聞いた村人が椒沢の今の所に祭ったのである。その数年後、名僧、赤田の閑居様、是山和尚が、田代野の鎌田弥四郎宅に一宿、円行寺村へ赴く途中、馬上でこの塔の前を過ぎ、「この五輪は誠に霊験あらたかなり、本地は阿弥陀如来にて、旱魃に雨乞すれば、必ず降らせる」と教えてくれたので、村人は更に堂を建てて祭った。この時五輪様は、大きな青大将に化身して、和尚を迎え、馬上の和尚の胸のあたりまで鎌首を立ちあげると、和尚は、「青、大きくなったな」と、その頭を撫でてくれたと伝えている。以来大雷神としてあがめ、川に沈めて雨乞をしたことが度々であった。数年前雨乞で集った若者の一人が、あやまって五輪の中の丸い一つを山から落とし、ころげて下の下水に落ち込んだ。あわてて拾い上げ洗い清めると、すぐ大雷雨になり、雨乞いも何もいらなくなったことがあると伝えている。 |