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秋田県立博物館

Akita Prefectural Museum  



絞り染め


 本県に伝えられる絞り染めの技術は日本の絞り染めの技術の推移を知る上で貴重な情報を含んでいます。また、北国の風土の中で独自に洗練されてきた美しい絞り染めの意匠は私たちの心を和ませてくれます。この美しさ、優しさはここに暮らしてきた人々の心の奥底に流れている美意識、優しさが反映して育まれてきたものです。そのような郷土独自の染色文化をたくさんの人に知っていただこうと、 博物館教室を開催しています。



秋田の絞り染め文化の紹介

秋田と絞り染め <浅舞絞、横手絞、鹿角紫根・茜染>

 秋田の絞り染めとしては浅舞絞、横手絞、鹿角紫根・茜染が知られています。
 浅舞絞は旧平鹿郡浅舞で江戸時代末ごろから染められていた木綿を用いた藍の絞り染めです。これは江戸時代に豊後に発した新風の絞り染めの技術が名古屋の有松・鳴海を経て浅舞にまで伝わったものです。伝えられた絞りの技は、秋田の風土で育まれ洗練されて浅舞絞としての個性を持つようになりました。特に浅舞で上絞りと呼ばれたものには木綿の藍染めとは思えないほど手の込んだ絞りが見られます。絹物の着用が認められなかった庶民層の思いの丈がこの大胆で美しい絞り染めを育てたのでしょう。
 横手絞は横手紺染のひとつとして染められました。絞りの技術は江戸時代に九州から職人を招いて習ったと言われています。
 横手で生産された絞り染めは秋田領内だけでなく、南部、山形、津軽、本荘、亀田、矢島、酒田、仙台などにも輸出されていました。
 鹿角紫根・茜染は奈良時代から伝えられてきたといわれる絞り染めです。栗山文一郎氏を技術保持者として秋田県の無形文化財にも指定されていました。この古代からの色を求めて再現された古式の染めは、落ちつきの中に華やかさを秘めた紫、茜色が魅力となっています。そして、古式の桝や立枠(立涌)の意匠を用いるのが特徴です。大変手間暇のかかる染めで、下染め、絞り、枯らし、染め、染め色の安定化と、全過程は三年余を要します。染料としては野生のムラサキ、アカネを用い、百数十回行われる下染めにはニシコリという木の灰汁が用いられました。
 これら秋田の絞り染めは、染色の分野では非常に著名で日本国内だけでなく海外にも紹介されています。しかし現状では、とてつもなく手間がかかるこれらの染めの生産は経営的には成り立たなくなっています。

絞りの技術

 絞り染めは布を糸で縫い締めたり巻き締めたりするほか、板で挟んで締め付けたりして染めます。締め付けられたところには染料が染み込みにくいので、染め残されて模様になります。染色で模様を作る上では最も道具立てが簡単ですが、型染めなどに比べて遙かに多く手間がかかります。
 浅舞絞には非常に多様な絞りの技が組み合わせて用いられています。染め残された白、濃紺、花色や浅葱など中間調の藍の色が効果的に組み合わされて華やかな意匠を演出しています。また、浅舞絞には三浦絞りという技法が効果的に用いられることも特徴のひとつです。三浦絞りは浅舞ではナルミ(鳴海)と呼ばれました。
 横手絞は、小帽子絞りと鹿の子絞りを用いた花や蝶の文様を濃紺地に染め出すのが特徴です。模様は単純な繰り返し模様で、浅舞絞りの絵羽模様のような複雑なものは見あたりません。鹿の子絞りは豆粒のような小さな円文様を括るものです。横手絞の鹿の子は突き出しという技法で括られました。突き出しは、尖った串を立て、それに布をかぶせて突き出した先端に糸を掛けて括る方法です。後の時代には機械と呼ばれる小さなかぎ針に布を引っかけて頂点を括る機械鹿の子が主流になります。
 鹿角の絞りの大桝や小桝、立涌の意匠は、布地を二つ折りにして二枚重ねで模様をぐし縫いし、糸を締めて絞ります。大桝と立涌は13m近い生地を、はしからはしまで糸を接がずに縫い通して絞ります。二枚重ねで絞ると作業量が軽減されるだけでなく、一枚で絞ったものより縫い締めの模様がくっきりとします。



博物館教室「楽しいしぼり染め」テキスト

秋田の絞り染めノート

 

たたみ絞り

 

横手絞り

三浦絞り

 

鹿角絞り

 

柳絞り



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